グローバル化時代の日本経済 菊本義治・西山博幸・本田 豊・山口雅生著

「利潤率」をキーワードにグローバル化のもとで変容する日本経済と国民生活、その現状、推移、これからの課題を読み解く。
- A5判/上製/196頁
- ISBN978-4-905261-18-6
- 本体2600円+税
- 初刷:2014年3月31日
著者の言葉
目次
- まえがき
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第1部 グローバル化経済と日本
- 第1章 グローバル化経済と日本(西山博幸)
- 第2章 金融のグローバル化(菊本義治・山口雅生)
- 第3章 グローバル化と企業行動(西山博幸)
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第2部 第2次世界大戦後の日本経済の推移
- 第4章 日本経済分析の基本的視点(菊本義治)
- 第5章 高度経済成長期:1956〜73年(菊本義治)
- 第6章 安定成長期:1974〜91年(菊本義治)
- 第7章 長期不況気:1992年〜現在(菊本義治)
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第3部 日本経済の諸問題
- 第8章 長期経済停滞からの脱却(山口雅生)
- 第9章 労働市場で何が起こっているのか(山口雅生)
- 第10章 財政問題と政府の役割(本田 豊)
- 第11章 福祉と財政(本田 豊)
- おわりに(西山博幸)
著者
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菊本義治(きくもと・よしはる)
- 1941年生まれ、兵庫県立大学名誉教授、理論経済学専攻
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西山博幸(にしやま・ひろゆき)
- 1969年生まれ、兵庫県立大学経済学部教授、国際経済学専攻
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本田 豊(ほんだ・ゆたか)
- 1951年生まれ、立命館大学政策科学部教授、日本経済論・計量経済学専攻
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山口雅生(やまぐち・まさお)
- 1976年生まれ、大阪経済大学経済学部准教授、マクロ経済学専攻
本書の問題意識は、現実の日本経済を理解するうえで、経済理論がどの程度の有効性を持っているのかを明らかにすることである。その理解のためにはミクロ経済学やマクロ経済学の基本的な考え方は重要である。しかし、それらの解説や本書のテーマと関連の薄い内容は思い切って捨象した。学問的には面白いけれども、日本経済の理解には必ずしも必要ではないと思われる点については本書の分析対象とはしない。
本書では、現在の日本が直面している問題を観察、説明し、従来の経済学の枠内で、その解決のための処方箋を提示するというスタンスをとっている。第1部では、世界経済のグローバル化の動向と、それと日本経済とのかかわりについて述べる。続く第2部では、第2次世界大戦後の日本経済の推移と、その動向を把握するのに必要な「利潤」について説明する。これらが本書全体の土台となる部分である。第3部では、現在の日本が抱えるさまざまな問題を考える。長期不況、雇用問題、財政赤字、社会保障制度、少子化問題など、ここで取り上げるトピックスのいずれもが、現在および将来にわたって人々の暮らしに直結する重要な問題ばかりである。しかし残念なことに、現時点では、いずれへの対応も不十分である。
もちろん、本書で取り扱えなかった問題も多い。たとえば資源問題や環境問題への対応などは喫緊の課題である。これらは人類の存続にかかわる問題であるため、迅速な対応が求められる。