株式会社の正当性と所有理論<新版> 有井行夫著

株式会社論とマルクス理解に新地平を拓いた著作の1998年増補版を復刻。
マルクス再読の基本視座を提供する!
- A5版/上製/380頁
- ISBN978-4-905261-01-8
- 本体5700円+税
- 初刷:2011年4月15日
著者の言葉
目次
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序章 株式会社から所有理論へ
- 問題設定
- 所有問題の現代的性格
- マルクス経済学における2つの通念
- 労働にもとづく社会の存立と歴史的「現在」
- 株式会社から所有理論へ
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第1章 「所有と機能の分離」とマルクスの問題設定
- 問題設定
- マルクスの「所有と機能の分離」論と2つの受容態度
- マルクスの機能資本家規定
- 株式会社における「所有と機能の分離」とマルクスの問題設定
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第2章 フィルファディングの問題転換
- 問題設定
- 金融資本モデルと株式会社論:フィルファディング株式会社論の特殊性
- 株式会社論の問題設定
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第3章 資本の形態発生と所有の経験
- 範疇的意義における株式会社
- 生産関係の物象化と所有関係の抽象化:3項連結場面の形成
- 資本による労働の包摂と抽象的人格の否定
- 利子の正当性と株式会社
- 終章 社会的なものも形態化と現代の問題
著者
有井行夫(ありい・ゆきお)
1949年,長野県諏訪郡に生まれる
1973年,東京大学法学部卒業
1978年,東京都立大学大学院社会科学研究科経済政策専攻博士課程単位取得
1988年,経済学博士(東京都立大学)
現在 駒澤大学経済学部教授
専攻 理論経済学
- 『マルクスの社会システム理論』(有斐閣,1987年)
- 『株式会社の正当性と所有理論』(青木書店,1991年)
- 『現代認識とヘーゲル=マルクス』(共編著,青木書店,1995年)
- 『マルクスはいかに考えたか:資本の現象学』(桜井書店,2010年)
- 『株式会社の正当性と所有理論 新版』(桜井書店,2011年)
マルクス経済学において現代所有論を阻害してきたのはスターリンの「生産関係の基礎としての所有」論である。ソ連を社会主義として恣意的に正当化する反面、労働する諸個人の媒介として生産諸関係の発生の把握というマルクスの基本精神を黙殺した。その結果、流通過程における抽象的私的所有すなわち抽象的相互承認形態、資本の正当化形態としての役割、完成された私的所有である株式会社形態における正当化の破綻などすべてを捉えそこなった。