本書は、はじめて経済学を学ぶ人たちのために書かれた入門書です。
では、どのようなことを目標としているかというと、「現代の日本社会を素材として、経済や社会の基礎知識を学び、経済と社会を結びつけた経済社会を歴史的・論理的に思考する能力を養成する」ということになります。高校までにあるいは予備校でいろいろな社会科の授業を聞いてきたと思いますが、そこでの社会科教育と大学での経済学や社会科学の専門的学習との「橋渡し」をしようとするのがこの入門講義の目標です。
昔から読み・書き・ソロバンが基本だといわれてきましたが、大学教育でもそれは基本です。専門書や教養書や新聞を読む力、読みながら自分で考え自分の意見なり解釈を書いたり発表する能力、自分が知りたいことに関するさまざまなデータを集めてそれを集計したり計算したりする能力の養成が大切になっています。そうした能力をつけていくのをサポートするのが本書の目標です。
ある社会経済学の入門書の書評をしたときに、私は次のようなコメントをしました。(1)高校までの社会科教育と大学での社会科学を中心とした専門教育との「橋渡し」をする導入教育の重要性、(2)経済学体系への導入順序と高校生の問題意識とのギャップの存在、(3)現代世界の現状を直視し、その危機的状況の分析に立脚した改革の構想(新しい社会の建設)の必要性、(4)集団的作業(執筆)につきまとう一貫性の不明確化の克服、などでした。最近ぞくぞくと経済学への導入書が出版されており歓迎すべきですが、そうした作業に生かされればと願ってコメントしました。しかしこうしたコメントは私自身にも跳ね返ってくる性格のものでもありました。こうした課題を自分自身で果たさざるをえなくなって出来上がったのが本書です。