昨年12月9日に開催された編集委員会において芳賀が編集委員長に、また小松善雄委員が副編集委員長に互選されて、屋嘉委員長・稲富副委員長の仕事を引き継ぎ、同時に屋嘉委員と出雲委員が退任いたしました。また、本年2月2日開催の幹事会で、石垣建志委員・吉原直毅委員の後任として佐藤良一会員と佐藤隆会員が新編集委員として承認され、第45巻の編集委員会が発足しました。なお吉原委員と稲富委員は編集作業の連続性を維持するために編集委員に留任したので、編集委員会は通常の委員数を1名超える11人体制をとっています。委員の任期はさまざまなので、編集委員会の構成は適宜変わることになります。
なお、慣例としては稲富副委員長が1年ほどの編集経験を踏まえて委員長に就任するのですが、今年の大会準備委員会委員長に就任したため、過去に編集委員を経験した幹事のひとりである芳賀が急遽、編集委員長に選出されたわけです。前に編集委員を務めたのは季刊化された直後でした。屋嘉委員長から引き渡された、そして綿密に整理されたレフェリーや書評の依頼文書等のファイルを拝見すると、その後のさまざまな経験を取り入れて、編集作業にかなりの改善が積み重ねられてきたことに気づきました。なお一層の改善に努めたいと考えております。
第45巻第1号は、昨年10月20日〜21日に開催された経済理論学会第55回大会の特集号です。第1号の編集は委員長が担当することになっています。共通論題「〈格差社会〉をどうみるか」をめぐって、司会・運営委員、報告者、コメンテータが早くから意見を交換し論点を整理してきたので、論争もかみ合い、当該問題への政治経済学的アプローチの有効性が確認されたように思います。
また、今次大会の特別報告者としてアンドルー・グリン氏が予定されていましたが、10月初めに急病のため来日できない旨の連絡がありました。そこで柴垣代表幹事が元ヨーク大学教授・関根友彦会員に依頼したところ、大会目前にもかかわらずご快諾いただき、2年連続での特別報告の開催中止を回避することができました。報告は「特別寄稿」として英文サマリーとともに本号に掲載されています。
なおグリン氏は昨年12月に逝去されました。謹んでご冥福をお祈りいたします。遺作となったアンドルー・グリン著、横川信治・伊藤誠訳『狂奔する資本主義——格差社会から福祉社会へ』(ダイヤモンド社、2007年)の書評は近く本誌に掲載される予定です。
本号についてもう2点。「海外学界展望」は何度か本誌に掲載されてきましたが、国内の研究者集会を扱った「学界展望」(横川信治会員)は初めての企画です。幹事会でも議論されたのですが、こうした企画については編集委員会で適宜検討することになりました。2点目は、2つの書評原稿を次号送りにせざるをえなかったことです。印刷所で組版した段階で、大会関係の原稿とくに分科会報告が嵩んだために、所定の頁数を超過していることが判明したためです。事情を理解されて、次号送りを承諾された書評執筆者のお二人に感謝いたします。
第45巻2号以降にも特集が計画されています。経済理論学会の会員は縦に深く専門研究を進めておられますが、本誌の特集は、読者としてまずは専門領域を異にする会員を、さらには会員ではない隣接分野の研究者やビジネスパースンや市民を想定して、政治経済学の最新成果をやや広い視点から論じるものにしたいと思います。まれに社会人向けの講演等を引き受ける機会がありますが、市民の意識は高く、昨今のメディアを支配しているネオリベラリズムの論調に批判的な方が多く、代替的な政治経済学的アプローチへの関心も高いといえます。理論と実証の両面から学会誌ならではの切り口を示すことは社会的意義も大きいと考えています。学会内部で専門領域を超えて研究成果を共有する効果が大きいことはもちろんです。
編集委員会として、特集の編成や編集作業の改良に努力することは当然ですが、学会誌の本性からして、投稿論文の一層の増加が『季刊 経済理論』活性化の鍵を握っています。会員の多くが所属機関の紀要等に旺盛に執筆され、また学会発表でも今回は20の分科会が設定された状況から判断すれば、投稿論文がもっと増えてもよいはずです。会員諸氏が積極的に投稿されることを強く期待します。
(芳賀健一)