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現代都市政策と地方財政
──都市公営事業からコミュニティ共同事業への発展

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現代都市政策と地方財政

A5判/上製/288頁

ISBN978-4-921190-48-4

西堀喜久夫(にしぼり・きくお)著
1947年 長野県に生まれる
学歴 1971年 富山大学経済学部卒業
1999年 京都大学大学院経済学研究科博士課程単位取得退学
職歴 1971年 自治体問題研究所
1973年(社)大阪自治体問題研究所事務局長、主任研究員、常務理事を歴任
1993年退職。
1998年 九州国際大学助教授を経て教授、大学院企業政策研究科教授、大学院企業政策研究科長、副学長、学長代行を歴任し、現在に至る。
主要著作 『共同と人間発達の地域づくり』(共著、自治体研究社、1985年)
『国際化への空港構想──検証・「臨空都市」の地域再生論』(共著、大月書店、1993年)
『大震災と地方自治』(共著、自治体研究社、1996年)
『現代地方財政の構造転換』(共著、勁草書房、1996年)


定価:
本体3400円+税

発行:
初 版:2008年3月31日
第2刷:2009年3月25日


都市の創造力と都市財政
戦前における関大阪市政、
1980年代における宮崎神戸市政
の都市経営を検証し、
コミュ二ティの再生と都市財政のあり方を考察する。

著者の言葉

 

 本書は、地方財政研究における制度的視点と政治経済学的視点とを総合し、1980年代における革新自治体あるいは都市経営論をめぐる論点の整理・総括を試みたものである。さらに、バブル経済崩壊後の都市財政の危機、阪神淡路大震災をとおして見えた戦後都市政策の問題点の検証を手がかりにして、大都市財政の日本的メカニズムの特質を理論史と実証分析の両面から解明し、その改革の中心課題を明らかにしようとしたものである。

 そのために、以下のような方法をとった。
 第一は、戦前、戦後の代表的な都市財政に関する理論を整理し、その位置づけを試みたことである。そのさい、理論的にも実証的にも大きな成果をあげた戦後の地方財政理論から今日の都市財政論が汲み取るべき点はなにかを重視して、まず戦後の都市財政理論を取り上げ、そのうえで、その源流たる戦前の都市財政理論を取り上げた。
 第二は、影響力をもった財政理論を当時の現実の財政状況とつきあわせることで、その検証を試みている。検証にあたっては、とくに財政赤字をメルクマールとした。検証の対象には、こうした分析に最も適していると思われる、戦前においては関市政下の大阪市財政と関の財政論を、戦後においては神戸市の宮崎市政下の神戸市財政とその都市経営型財政論を取り上げた。
 第三に、1980年代以降、都市政策の主体として立ち上がった住民運動と、阪神淡路大震災という都市の未曾有の危機とその復旧・復興過程から見えてきたものを分析することで、これからの都市財政論に求められる課題を探った。

 各章の概略を示しておこう。
序論では、都市財政論にとって重要な理論を取り上げている。藤田武夫の制度論的都市財政論、島恭彦の地域不均等論による都市財政論、宮本憲一の社会資本論による都市財政論、持田信樹の政府間財政関係論による都市財政論、高寄昇三の都市経営論による都市財政論、池上惇の主体形成論による都市財政論である。
 第1章では、都市財政論の源流としての、戦前の都市公営事業論を主軸に展開された関一の財政論、池田宏の都市計画財源論の積極的意義、大内兵衛の都市財政論の理論的先駆性を示した。
 第2章では、関の積極的な都市社会政策とそれを支える財政メカニズムを具体的に解き明かし、それが危機に陥っていくプロセスを時間軸にそって分析することでその原因を見極めつつ、関の財政理論の意義と限界を明らかにした。
 第3章では、1980年代の都市財政運営に大きな影響を与えた神戸市の都市経営型財政を、財政赤字という視角から検討した。神戸市の公債発行による資金調達、開発利益の獲得とその再投資のメカニズムの分析をとおして、開発投資が企業税収と市民税収の増収には必ずしも帰結していないこと、都市経営の核心とされる外郭団体の活用が、「福祉国家」の弱点である官僚化と自治の軽視につながっていくこと、またバブル経済の崩壊によって、阪神淡路大震災前にすでに財政破綻が起こっていたことを論証した。
 第4章では、阪神淡路大震災とその復旧・復興過程の分析をとおして、大都市の危機への備えとして最重要な課題のひとつがコミュニティの再生にあることを、神戸市長田区真野地区でのケース・スタディーをとおして明らかにした。
 第5章では、阪神淡路大震災の教訓として、都市におけるコミュニティ再生のためには、神戸市のような政令指定都市においては区への行政権限の移譲とその自治体化、狭域自治の必要性とそのための条件を明らかにした。また、コミュニティの再生が都市政策の目的にならなければならないことを提起した。
 第6章では、1980年代以降の大阪における住民と自治体労働者による地域おこし・まちづくりへの取り組みを自治の主体形成という視点から検討して、都市財政改革の課題を整理した。
 終章では、以上を踏まえ、かつグローバリゼーションと都市の成熟化の進行という状況のもとでの都市財政論の課題を整理してみた。

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目 次 

まえがき

序 論 戦後における都市財政論の再検討
──都市財政問題と都市財政論の発展──

はじめに
第1節 制度論的都市財政論
第2節 地域不均等論の都市財政論
第3節 社会資本論による都市財政論
第4節 政府間財政関係論による都市財政論
第5節 都市経営論による都市財政論
第6節 主体形成論による都市財政論

第1章 戦前の都市財政論における公営事業の位置

はじめに
第1節 関一の都市財政論
第2節 池田宏の都市計画財政論
第3節 大内兵衛の都市認識と都市財政

第2章 戦前における都市公営事業と都市財政
──関市政下の大阪市財政の変貌──

はじめに
第1節 関一の直面した都市財政システム改革の課題
第2節 大阪市財政の危機と関市政の対応
第3節 1期──財政膨張と黒字の構造と要因
第4節 2期──財政危機の時代
第5節 3期──黒字財政への転換:高橋財政と大阪市財政
第6節 第一次大戦後の財源確保の努力
第7節 現代財政への転換と関一の財政論の評価

第3章 阪神淡路大震災と神戸市都市経営型財政

はじめに
第1節 神戸市財政のメカニズム
第2節 宮崎神戸市政の都市経営論
第3節 宮崎市政の都市経営の手法
第4節 外郭団体活用による都市経営のメリット
第5節 外郭団体運営の実際から見た神戸市都市経営
第6節 神戸市における経営・労働の特質と課題

第4章 震災の危機を乗り越える力
──真野地区に見るコミュニティとボランティア──

はじめに
第1節 真野地区の概況
第2節 震災の被害と復旧・復興への取り組み
第3節 震災への地域の対応
第4節 真野地区に見るボランティア活動の実際

第5章 震災とコミュニティ・ボランティア・自治

はじめに
第1節 救援に力を発揮したコミュニティ
第2節 避難生活とコミュニティ
第3節 ボランティアとコミュニティ
第4節 復旧・復興を左右するコミュニティ
第5節 復興過程に見る神戸市と島原市のコミュニティ観の比較
第6節 コミュニティが機能する条件
第7節 神戸市の都市経営とコミュニティ
第8節 震災と自治システムの新展開

第6章 コミュニティ共同事業の新しい展開と課題

はじめに
第1節 住民運動発展の要因
第2節 大企業の巻き返しと地域戦略
第3節 地域経済問題へのアプローチ
第4節 地域の新しい人間関係づくり
第5節 統治能力の自己形成
第6節 自治体労働運動の課題
第7節 21世紀の自治体改革──コミュニティとマネジメントと自治

終 章 現代都市財政論の課題
──グローバリゼーションと成熟都市──

第1節 都市財政論の視点
第2節 都市財政論の課題

あとがき
人名索引
事項索引

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