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現代マルクス経済学

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現代のマルクス主義

A5判/上製/424頁

ISBN978-4-921190-49-1

長島 誠一(ながしま・せいいち)

東京経済大学教授
1941年、東京に生まれ、疎開先の福島で育つ。
1965年、一橋大学経済学部卒業。
1970年、同大学院経済学研究科単位修得・満期退学。
一橋大学助手、関東学院大学専任講師を経て、現職。
著書
『独占資本主義の景気循環』新評論、1974年
『現代資本主義の循環と恐慌』岩波書店、1981年
『景気循環論』青木書店、1994年
『経済学原論』青木書店、1996年
『戦後の日本資本主義』桜井書店、2001年
『経済と社会──経済学入門講義』桜井書店、2004年
『現代の景気循環論(第2版)』桜井書店、2007年
ほか

本体3700円+税

発行
初 刷:2008年4月15日
第2刷:2008年7月5日

 

いまだから『資本論』!
『資本論』の経済学の現代化に取り組んだ
挑戦的試み。

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著者の言葉

 本書は、『資本論』を現代資本主義の理論的・実践的分析に真に生かすために「二段階上向」を試みたものである。第一は『資本論』からマルクスの経済学批判プランへの上向であり、第二には、一般理論の独占資本主義そして現代資本主義(国家独占資本主義)への段階的上向である。

 本書は序章と24章から構成されているが、各章に共通する視点は、『資本論』の「二段階上向」であるから、各章の多くにおいて、(1)資本主義一般の基礎理論を紹介・検討した後で、(2)その一般理論が独占資本主義においてどう変容したか、(3)そして現代資本主義における発現様式を明らかにしようとした。

(1)については、流通過程の循環や回転や価値革命・価値喪失、利子生み資本、資本制地代の創世記、競争の仮象、資本蓄積の一般的法則や歴史的法則などでは、マルクスの見解の引用や要約を重視した。しかし全体的には『資本論』の解説は極力避けて、私なりの思考を一貫させようとした。したがって、通説的な『資本論』解釈とは違っているし、マルクス自身の論理的難点と思われたところは批判的に叙述することに結果的になっている。さらに、マルクスの商業論・信用論・株式会社論の延長線上で具体化しているヒルファディング『金融資本論』の成果を積極的に信用・株式会社・擬制資本の章に導入してみた。現代の世界的な投機活動の本質を理解するためにもヒルファディングから学ぶべきであろう。土地所有については、私的所有は現存しているが、土地所有者階級は消滅しているとした。また、環境問題や農業問題と土地所有とを関連づけようとした。賃労働については現代の労働疎外や労働過程の現状分析を重視した。資本の動態過程については、再生産論、蓄積モデル、景気循環論としてまとめてみた。

(2)と(3)については、貨幣についてははじめから不換銀行券として考察し、現代の価値尺度機能を相対価格調整機構の変質として考察している。独占資本主義における流通費や商業の縮小傾向と増大傾向の両方を析出し、生産価格が独占価格と非独占価格に分裂し、賃金も分断化し、投資行動も独占と非独占で異なる。支配的資本は産業資本から金融資本に変化し、金融資本は現代においても企業集団や利益集団としていぜんとして支配的である。金融資本は土地所有者階級と連合することによって国家権力を掌握する(金融寡頭制の支配)。戦後日本では政・官・財複合体として再現してきた。国家論の分析は、現代資本主義において国家が経済過程の組織化に乗りだしていることからも、必要不可欠である。現実資本(実体経済)面での資本蓄積と貨幣・信用との全体的・総合的運動機構が景気循環にほかならないが、それが独占資本主義そして現代資本主義においてどのように変容しているかを考察した。景気循環の変容や恐慌の形態変化は、現代資本主義がどのように均衡を達成しようとしているのか否なのかという問題に密接に関連するし、そうした視角から価値尺度や相対価格調整機構を明らかにすべきことを主張した。利潤率の長期的傾向については蓄積モデルを設定して数値解析して検討し、利潤率の歴史的な波動と資本主義の段階的発展とを結びつけるべきだと提起した。マルクスが論定した資本蓄積の一般的法則・歴史的法則については、その現代における妥当性や発現形態を重視した。

 本書の構成はつぎのようになるが、必ずしも『資本論』の編別構成とは同じではない。『資本論』の現代化が目標だから、現代資本主義をたえず念頭においておかなければならない。そのために冒頭の序章において、経済力の集中化・競争の形態変化・不換銀行券制度を俯瞰した。第1〜3章で、資本制商品経済の基礎的範疇である商品・貨幣・資本を説明するが、現代においても市場経済化・「資本の文明化作用」としてますます純化・深化している基礎的範疇である。第4章ではシステムとしての資本制経済を総体的に把握しようとしているが、現代の国家の役割を考えればますます必要となっている。資本の生産過程(第5章)、流通過程が第6・7章で分析されている。第8章からは『資本論』第3巻の編別構成にほぼ対応している。すなわち、剰余価値の利潤への転化(第8章)、利潤の平均利潤への転化と独占利潤への転化(第9章)、剰余価値の分配と近代的な商業・銀行・土地所有の成立(第10・11・14章)、と展開されている。国民所得論(第16章)、競争の仮象と「三位一体」範式(第17章)として『資本論』と同じように総括的に締めくくった。さらに、信用論の展開としての株式会社論(第12章)と擬制資本論(第13章)、賃労働(15章)の具体化が試みられている。第18〜20章は資本制経済の動態過程とその現代における変容が考察され、第21章では現代貨幣論としてインフレーションと価値尺度機能が相対価格調整機構として分析される。第22・23章は資本制商品経済の長期的傾向が、利潤率と資本蓄積の一般的・歴史的法則として検討される。第24章で「ブルジョア社会の総括者」としての国家論の本質とその現代的機能が考察される。

長島誠一

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目 次

はしがき

序 章 国家独占資本主義

0.1 自由競争の独占への転化
0.2 金本位制から不換銀行券制度への変質
0.3 国家の組織化(政策体系)
0.4 マルクスの経済学批判プランと現代

第1章 商品経済

1.1 商品経済の必然性
1.2 商品の二要因
1.3 労働の二重性
1.4 労働過程と価値形成過程
補論 価値の計算例

第2章 貨幣経済

2.1 金本位制度の停止
2.2 信用貨幣の機能
2.3 貨幣数量説批判

第3章 資  本

3.1 資本の定義:価値増殖する運動体
3.2 価値増殖過程(剰余価値のマクロ的規定)
3.3 労働力商品の特殊性と剰余価値生産
3.4 不変資本と可変資本
3.5 剰余価値増大の方法

第4章 システムとしての資本制商品経済

4.1 資本主義システム
4.2 人格の物象化と物象の人格化

第5章 資本の生産過程

5.1 現代の生産様式
5.2 現代の労働過程
5.3 現代の労働関係
5.4 現代の生産関係

第6章 資本の流通過程

6.1 マルクスの分析
6.2 生産資本の遊休化と価値喪失
6.3 生産的労働論
6.4 流通費用の増大傾向と節約傾向
─独占資本の製品差別化競争と情報通信革命

第7章 再生産論

7.1 マルクスの再生産表式の基本性格(二部門分割)
7.2 三部門表式
7.3 成長論への組み換え
7.4 市場価格表示の再生産表式
7.5 軍需産業と再生産

第8章 剰余価値の利潤への転化

8.1 資本の物神化作用
8.2 剰余価値の利潤への転化

第9章 生産価格と独占価格

9.1 自由競争の独占への転化
9.2 生産価格論
9.3 独占価格論
9.4 参入阻止価格論
9.5 独占価格・非独占価格体系
9.6 総価値からの総価格の乖離傾向
補論 生産価格と独占価格の例解

第10章 商業(商業資本)

10.1 商業資本の自立化と再生産
10.2 商品取引(所)
10.3 独占と商業
10.4 商業部門の歴史的動向

第11章 信用(銀行資本)

11.1 再生産と信用機構
11.2 銀行資本の自立化と再生産
11.3 信用創造─銀行の本質
11.4 銀行利得
11.5 金融資本
11.6 金本位制の形骸化
11.7 中央銀行券制度と不換銀行券の性格

第12章 株式会社

12.1 所有と機能の分離(マルクス分析)
12.2 株式会社
12.3 法人資本主義論(現代の所有と支配)

第13章 擬制資本

13.1 利子生み資本(マルクス)
13.2 擬制資本と投機
13.3 取引所と銀行

第14章 土地所有と地代

14.1 土地所有
14.2 差額地代
14.3 絶対地代
14.4 土地の商品化
14.5 農業人口比率の急減とアグリビジネス

第15章 賃労働

15.1 現代の労働力再生産機構
15.2 労働市場の分断化
15.3 現代の労働疎外と労働者の闘争
15.4 現代の過剰人口

第16章 国民所得と諸階級

16.1 生産価格法則と剰余価値の分配
16.2 国民所得と再生産
16.3 「三位一体」範式の世界
16.4 日本の階級構成

第17章 競争の仮象と「三位一体」範式

17.1 競争の仮象(資本の競争の世界)
17.2 物神的性格
17.3 物神化の完成と「三位一体」範式批判
17.4 競争の現実的運動

第18章 蓄積モデルと循環

18.1 予備的考察
18.2 価格調整型蓄積モデル
18.3 数量調整型蓄積モデル
18.4 価格調整+数量調整型蓄積モデル
18.5 蓄積モデルの周期

第19章 景気循環機構

19.1 予備的考察
19.2 蓄積メカニズム
19.3 好況
19.4 恐慌─下方への反転運動
19.5 不況
19.6 回復
19.7 景気循環と資本主義の存続

第20章 現代の景気循環

20.1 予備的考察─段階的変化
20.2 好況─不均等発展の弱化
20.3 恐慌─激発性の消滅と均衡回復作用の弱化
20.4 恐慌の形態変化
20.5 不況─成長率循環
20.6 回復─他律性と自律性

第21章 価格体系とインフレーション

21.1 インフレーションの基礎理論
21.2 相対価格調整機構
21.3 生産性変化率格差インフレーションの展開とその変容
補論 マネタリズムの貨幣観批判(貨幣数量説批判)

第22章 利潤率の長期波動
─資本主義の存続条件と解体条件─

22.1 マルクスの利潤率傾向的低下法則とその問題点
22.2 資本蓄積メカニズムと利潤率の長期動向(1)─二部門分析
22.3 資本蓄積メカニズムと利潤率の長期動向(2)─三部門分析
22.4 利潤率の歴史的動向と長期波動論の可能性

第23章 資本蓄積の現代的傾向

23.1 資本蓄積の一般法則(マルクス)と現代
23.2 資本蓄積の歴史的法則(マルクス)と現代
23.3 集積・集中運動の現代的形態─多国籍企業のグーロバルな再編成

第24章 国家と金融寡頭制支配

24.1 国家によるブルジョア社会の総括
24.2 金融資本と金融寡頭制支配
24.3 金融寡頭制の現代版─日本の政・官・財複合体制
24.4 金融寡頭制のイデオロギー支配─戦後日本

索 引

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