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福祉国家の可能性―改革の戦略と理論的基礎―
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A5判/上製/212頁
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ISBN4-921190-14-3
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著者
エスピン-アンデルセン(Esping−Andersen ,G)
下記を参照
訳者
渡辺雅男(わたなべ・まさお)
一橋大学社会学研究科教授・社会学博士
著書
『階級! 社会認識の概念装置』彩流社、2004年
『市民社会と福祉国家』昭和堂、2007年
ほか
訳書
J-C・ドロネ&J・ギャド『サービス経済学説史』桜井書店、2000年
J.クランプ『日経連 もうひとつの戦後史』(洪哉信との共著)桜井書店、2006年
J. ロゼンバーグ『市民社会の帝国──近代世界システムの解明』桜井書店、2008年 ほか
渡辺景子(わたなべ・けいこ)
一橋大学社会学研究科博士課程単位取得
訳書
エスピン-アンデルセン『ポスト工業経済の社会的基礎』(渡辺雅男との共著)桜井書 店、2000年
シーブルック『世界の貧困』青土社、2005年 ほか
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本体2500円+税
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発行
初 刷:2001.11.5
第2刷:2004.10.15
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改革のディレンマと
新しい福祉国家への
シナリオ,道筋
世代,ジェンダー,階級…… 新たな,そして深刻な社会的亀裂・不平等をどう回避するか。
実践的な政策論を中心に編集された最新作。
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G・エスピン-アンデルセン:
1947年デンマーク生まれ。現在,スペインのポンペウ・ファブラ大学政治社会学部教授。
訳書には渡辺雅男・景子訳 『ポスト工業経済の社会的基礎』(原書:1999年)桜井書店,2000年ほかがある。
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すべての先進諸国は広範囲で深刻な構造的変化の渦中にある。この点についてわれわれのあいだに異論はないはずである。しかし,何が変化を引き起こし,それが何をもたらすのかとなると,答えはどうもはっきりしない。グローバリゼーションや技術を根本原因として挙げる人は多いが,女性の役割の劇的な変化,人口構成の急激な変化や高齢化の急速な進行,文化的な変容といった社会学的要因を強調する人もいる。さらに,われわれの社会はどこへ向かっているのか,という問題への答えとなると,意見はもっと広く分かれる。
答えがバラバラなのは,そこに,ある意味,分析する側の学問分野の(そして,時としてイデオロギー的な)偏りが反映しているからである。技術やグローバリゼーションに注目する人は,新たな情報主導の知識経済を思い描いている。楽観論に立つ人は,仕事の質の改善,不平等の是正,新たな富の創造を予言する。これに対し,悲観論に立つ人は,両極分解の広がりと社会的排除の未来を心に描く。なぜなら,知識重視の経済は強者に有利な経済であり,教育の低い,資源に恵まれない人々を社会の片隅に追いやるからである。文化的な見地に立つ人のなかには,しばしば「ポスト・モダニスト」が含まれるが,彼らは,歴史がすでに終焉を迎えており,現在の変化の背後には,それを導く支配的原理など存在しないと信じている。最後に,私のような,社会学的見地に立って議論するものは,来るべき社会の輪郭を説明しようとすると,しばしば「ポスト工業社会」といった概念に助けを求めることになる。
本書の各章で私が自らに課した中心的な知的課題は,この出現しつつある新たな,そして,きわめて未熟な社会を真正面から問題にすることであった。われわれの目標は,部分的には,ポスト工業社会の基本的な輪郭と基礎とを理解することである。また,部分的には,新たに登場してきたディレンマを確認することである。これまでの工業社会の秩序をきわめて巧みに規制してきた主要な制度がいまや機能不全に陥っている。この点についてはわれわれのあいだに異論はないと思う。一つには,伝統的家族が姿を消しつつあり,かつそれが果たしてきた責任を果たせなくなっているうえに,新たに生じてきている問題にはほとんど対処できないという現状が挙げられる。アルツハイマー症に罹った場合はもちろんだが,高齢者の長期的な介護ニーズに対応できるような家族はきわめて少ない。もう一つの事情として,われわれの福祉国家がその対応を想定してきたような社会的リスクの内容が,大きく変わろうとしていることである。言い換えれば,われわれは大きな,そしてまた,緊急の政治的課題に直面しているわけである。われわれは,どのようにして21世紀の高齢者を保護すべきなのか。どうしたら社会的な両極分解を回避することができるのか。われわれは,根本的に異なった家族政策を必要としているのだろうか。どうしたら完全雇用と高賃金の仕事との両者を確保することができるのだろうか。どうしたらわれわれの社会や経済を女性の新しい役割に合わせていくことができるのだろうか。
これらが,本書で私が取り組もうとしている中心的問題である。
(中略)
明らかになってくる経験的趨勢を検討してみると,これからの「ポスト工業」的な課題として三つの点が浮かび上がってくる。ごく簡単にまとめれば,それは世代,ジェンダー,階級である。それぞれが新たな,そして深刻な社会的亀裂へと結びつきやすいものであり,そうであるからこそ,われわれにとって,福祉国家を再検討し,有効な改革の戦略を打ち出すことが急務である。
(以下略)
G・エスピン-アンデルセン
バルセロナ
2001年5月
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序 文
第1部 改革の戦略
第1章 21世紀の福祉国家
−高齢化社会,知識中心の経済,ヨーロッパ福祉国家の持続可能性−
課題への挑戦
ヨーロッパの福祉レジームの多様性
社会的なリスクとニーズの構造変化
家族リスク
世代とライフ・コースを横断する福祉の非対称性
出生率と移民
労働市場への参加と雇用
労働と退職の結びつき
女性の雇用と共働き世帯
労働市場との結びつき
21世紀のヨーロッパの福祉国家
政策選択にあたっての基本的な基準
公正性と効率性の判定規準
改革の原理−−社会投資の偏向に向けて
新しい福祉国家のデザインに向けて
学習戦略の限界
公正な退職
家族の福祉と労働市場との調和
すべての人に対する「いまここで」の平等よりも,ライフ・チャンスの保証を
余暇と労働
改革――EUレベルでの調整
付論 家族への社会投資の見積り
第2章 官僚か,それとも建築家か
−ヨーロッパの福祉国家の再構築−
新しい福祉レジームを構築するための決定原理
新しい福祉制度はいかなる目標を達成すべきか
21世紀の福祉国家
1 女性の雇用を最大限増大させること
2 貧困から子供を救うこと
3
ライフ・サイクルの柔軟化(1)――定年退職制度の廃止
4
ライフ・サイクルの柔軟化(2)――余暇と仕事の新しい組み合わせ
5 平等概念の再検討
第3章 福祉国家と家庭経済
はじめに
家族と福祉レジーム
家族主義の諸結果
家族の変化と貧困
家族と労働
低出生率均衡
第2部 理論的基礎
第4章 社会福祉政策の比較論
社会政策モデルを概念化する
政策の違いを説明する
近代化理論
「政治重視」の理論
グローバリゼーションの影響
国民国家形成と民主化
国家中心の理論
福祉国家の諸結果
貧困と所得分配
ジェンダーと不平等
第5章 社会的指標と福祉の測定
現在の状況
理論的な基礎
社会的リスク
資源とニーズを重視するアプローチ
資源に注目する立場
資源の運用能力を測定する
生活水準の項目と指標
データをどう活用するか
福祉の進歩と後退という問題
どこへ向かうのか
第6章 二つの社会,一つの社会学,そして理論の不在
なぜ理論が問題か
壮大な疑問
ライトモチーフの効用
「ポスト〜」の社会学
「日常」的社会を越えて
新たな社会へのアプローチ
来るべき社会のための社会学
訳者あとがき
文献表
人名索引
事項索引
国別索引
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