- 季刊・経済理論 第57巻第1号(2020年4月)特集◎資本主義のオルタナティブ:資本主義の限界と政治経済学の課題
- 目次
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[特集◎資本主義のオルタナティブ:資本主義の限界と政治経済学の課題]
- 主義なき資本の時代が行き着く先は?:グローバル化の顛末 浜 矩子
- 資本主義の成熟と「転換」:いま私たちはどこにいるのか 小西一雄
- 反緊縮経済政策理論の体制変革展望 松尾 匡
[論文]
- マルクスの「国家財政」批判:「国家導出論争」の成果をふまえて 隅田聡一郎
- 転形論争とマルクス価値論の意義と課題 伊藤 誠
[研究ノート]
- 大西(2018)社会運動モデルへの多数決政治の導入とそのインプリケーション 大西 広
[書評]
- 菊本義治・齋藤立滋・長島勝廣・林田秀樹・本田 豊・松浦 章・間宮賢一・山口雅生著『日本経済の長期停滞をどう視るか』 佐藤良一
- 松尾 匡著『左派・リベラル派が勝つための経済政策作戦会議』 川口和仁
- 森田成也著『『資本論』とロシア革命』 隅田聡一郎
経済理論学会第67回大会報告
経済理論学会第67回大会報告(英文)
経済理論学会第67回大会分科会報告
経済理論学会 2019年度会務報告 代表幹事 河村哲二
東京大学経済学部長のNIKKI STYLEでの発言に対する公開質問状について 経済理論学会事務局
第10回(2019年度)経済理論学会奨励賞 奨励賞選考委員会
第11回(2020年度)経済理論学会奨励賞募集要項 奨励賞選考委員会
第5回(2018年度)経済理論学会ラウトレッジ国際賞 国際賞選考委員会
第7回(2020年度)経済理論学会ラウトレッジ国際賞推薦依頼 国際賞選考委員会
2020年度 経済理論学会第68回大会の開催について 大会実行委員会
論文の要約(英文)
刊行趣意・投稿規程
編集後記 山下裕歩
- 編集後記
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この第57巻1号の特集は、昨年の10月19〜20日に駒澤大学で開催された経済理論学会第67回の共通論題「資本主義のオルタナティブ:資本主義の限界と政治経済学の課題」の報告、コメントおよび討論である。大会について本号はこの他に、報告一覧、19の分科会のまとめ(報告と討論の概要)、学会会務報告、奨励賞報告、国際賞報告を収録することにより、第67回大会の全体像を記録するものとなっている。原稿をご執筆頂いた共通論題報告者、分科会司会、諸報告の皆様に、編集委員会を代表して心より感謝申し上げる。
本誌は『経済理論学会年報』(前身は1961年から、この名称では1967年から刊行)以来の、半世紀をこえる長い歴史をもっている。当初は大会報告集の性格が強く、大会の共通論題報告とともに査読(レフェリー)制に基づく投稿論文を掲載するようになったのは、1990年刊行の第27号からのことである。それゆえ今年は、査読制への移行からちょうど30年にあたる。経済理論学会は、マルクスの流れを汲む経済理論を基幹部分に据えながらも、それを絶対視することなく、ケインズ、スラッファ、ポランニーらを源泉とするアプローチについても政治経済学の構成要素として独自の価値を認め、複数のアプローチ間の開かれた対話および相互批判を重視する立場をとっている。この理論における複数主義な立場は、査読の過程においては、次のような審査方針に反映されている。それは、論文で展開されている議論の論理的な一貫性や整合性、実証の説得性などについては厳しい指摘や注文を行いつつも、投稿者が立脚する方法論や分析の観点については、それ自体を排除の理由にはしないという方針である。この審査方針は、明文化されているわけではないが、査読制の導入以来,本誌の編集委員会において(初期においては多くの試行錯誤を伴いながら)確立され、継承されてきたものである。ただし、排除しないということは、批判をしないということではない。活発な相互批判をぬきにしては、複数主義はたんなる折衷に帰着する。本誌の使命の一つは、現代の政治経済学の諸潮流に対して、排除なき相互批判の場を提供することにある、と私は考えている。
本誌の歴史についてもう一言ふれておくと、本誌は2004年刊行の第41巻から季刊化し、これに伴って誌名を『季刊 経済理論』に改めた。それ以来、年間4号の特集企画のうち、1号を大会の共通論題、残りの3号を編集委員が独自に企画するテーマとする方式が現在まで続いている。先日発行された第56巻まで、大会共通論題と独自企画をあわせて64のテーマを扱ってきたことになる。そのリスト(http://www.sakurai-shoten.com/content/lists/jspe.shtml)からは、この16年間の経済理論学会の関心の推移を読み取ることができる。それらの中には類似のものも少なくないが、今年北星学園大学(札幌市)で開かれる第68回大会の共通論題の「少子化と現代資本主義」は、これまでの特集では全く扱われたことがない斬新なテーマである。生命の再生産が社会経済システムの再生産と複雑に絡みあっていることは、新型コロナ感染症によるパンデミックにおいても如実に示されている。資本主義のもとでの少子化の進行をめぐってどのような議論が行われるのか、大いに期待したい。
(森岡真史)
- 編集委員
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委員長
- 森岡真史(立命館大学)
副委員長
- 宮澤和敏(広島大学)
編集委員
- 明石英人(駒澤大学)
- 阿部太郎(名古屋学院大学)
- 佐々木隆治(立教大学)
- 柴崎慎也(北星学園大学)
- 薗田竜之介(佐賀大学)
- 二宮健史郎(立教大学)
- 星野富一(富山大学)
- 山下裕歩(獨協大学)
- 涌井秀行(明治学院大学)
経済理論学会について詳しくは、同学会のホームページ
http://www.jspe.gr.jp/
をご覧ください。