- 季刊 経済理論 第54巻第1号(2017年4月)◎21世紀の世界とマルクス:『資本論』150年を迎えるにあたって
- 目次
-
[特集◎21世紀の世界とマルクス:『資本論』150年を迎えるにあたって]
- グローバル資本主義の世界史的位置:マルクスの歴史認識と段階論をめぐって 植村高久
- グローバル資本主義の資本と賃労働:新自由主義下の資本蓄積と格差社会をめぐって 飯田和人
- グローバル資本主義と対抗運動:多様な社会運動とマルクス派,その倫理と論理との「翻訳」をめざして 大屋定晴
[特別寄稿:一般公開特別講演記録]
- 自然エネルギーで自律分散・ネットワーク社会をつくる 佐藤彌右衛門
[第2回経済理論学会ラウトレッジ国際賞受賞記念講演:要旨]
- マルクス経済学の方法と現代世界 伊藤 誠
[論文]
- 重層的信用ネットワークとしてのグローバル金融システムとデリバティブ:韓国為替デリバティブ市場を事例に 李 素軒
- 韓国における「貧困の女性化」 金 仁子
[研究ノート]
- ポランニー派経済人類学の史的展開:市場社会と非市場社会の対立を超えて 室井 遥
経済理論学会第64回大会報告
経済理論学会第64回大会報告(英文)
経済理論学会第64回大会分科会報告
経済理論学会2016年度会務報告 代表幹事
第7回(2016年度)経済理論学会奨励賞 選考委員会
第8回(2017年度)経済理論学会奨励賞募集要項 選考委員会
第2回(2015年度)経済理論学会ラウトレッジ国際賞 国際賞選考委員会
第4回(2017年度)経済理論学会ラウトレッジ国際賞推薦依頼 国際賞選考委員会/植村博恭
2017年度経済理論学会第65回大会の開催について 大会準備委員会
[書評へのリプライ]
論文の要約(英文)
刊行趣意・投稿規定
編集後記 松尾秀雄
- 編集後記
-
54巻1号は、昨年10月15日16日に福島大学にて開催された経済理論学会第64回大会の特集号である。大会では各分科会とも、積極的な議論がおこなわれ、各発表者は、真剣に各自の研究テーマと問題関心に基づいて口頭発表をおこなった。この号では、それらを文字化し活字化したものを収録し、また共通論題発表者には、論文形式での投稿を改めて求めた。福島大会を再現できる内容となっている。
海外からのエントリーは二十数名に達し、全国から 200名近くの参加者があった。その中で、分科会司会をはじめ、活躍された各位には原稿を依頼し、寄稿してもらうことによって本号が完成した。編集委員として厚くお礼を申し上げる。
日本には幸いなことにマルクス経済学の長い伝統と学問的な発展の歴史がある。なぜマルクス経済学なのか。資本主義は生産力的には激烈に発展したのは事実だが、他方で、多様で複雑な人間の尊厳に関わる様々な社会問題を産み落としてしまった。マルクスの解決の方向性はその解決のためのひとつに過ぎないが、ひとまず、『資本論』を各自が読みこなすことによって、議論のための共通の土俵が出来上がったのである。この土俵の上で、経済学の理論や思想や政策を論じ、相撲を取ろうということである。圧倒的多数の学者がこのマルクスの経済学を出発点に研究生活を開始していった。マルクスの立脚点は、経済学を通しての人間性の復権であり、市場経済がいかに人間社会にとっては部分にすぎないかを確認したところである。さらに現代の社会と経済は混迷を深める。これらの考察には、絶対ではないが、マルクス的な発想や市場批判を抜きに語れないのである。
64回のテーマは「21世紀の世界とマルクス」であった。副題は、「『資本論』150年を迎えるにあたって」であった。植村高久会員は、マルクスの歴史認識と段階論の問題、飯田和人会員は、グローバル資本主義における格差社会の問題、大谷定晴会員はグローバルな資本の動きに対する人々の対抗的な運動の存在の問題、について論じられた。特別寄稿された佐藤氏の論稿も収録した。経済理論学会ラウトレッジ国際賞に輝いた伊藤誠会員の記念講演も収録させていただいた。この4月の1号に掲載予定の書評8本と書評リプライ1本は、原稿が多数集まったために、次号に回すこととなった。書評を楽しみにしていただいた読者、会員には、深くおわびを申し上げる次第である。
(松尾秀雄)
- 編集委員
-
委員長
- 松尾秀雄(名城大学)
副委員長
- 黒瀬一弘(東北大学)
編集委員
- 佐々木啓明(京都大学)
- 渋井康弘(名城大学)
- 関根順一(九州産業大学)
- 鳥居伸好(中央大学)
- 西 洋(阪南大学)
- 宮田惟史(駒澤大学)
- 安田 均(山形大学)
- 結城剛志(埼玉大学)
経済理論学会について詳しくは、同学会のホームページ
http://www.jspe.gr.jp/
をご覧ください。