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季刊 経済理論 第52巻第1号(2015年4月)◎対抗軸としてのポリティカル・エコノミー
季刊・経済理論第52巻第1号

経済理論学会編

B5判/並製/128頁
ISBN978-4-905261-76-6
本体2000円+税
発行
2015年4月20日

目次

[特集◎経済理論の現在:対抗軸としてのポリティカル・エコノミー]

  • 社会経済システムの制度分析と経済理論の再建:現代経済学との対話を通して  植村博恭
  • 経済学と経済の共進化  西部 忠
  • 現代経済学の継承的・批判的発展としての現代的ポリティカル・エコノミーの可能性  吉原直毅
  • 経済理論学会第62回大会共通論題一般討論の記録

[特別寄稿]

  • 制度的失敗としてのユーロ危機:安定・協調・統治に関する欧州条約―なぜユーロ危機はそれほど深く,持続的なのか  バンジャマン・コリア/訳=横田宏樹

[論文]

  • 複雑労働の理論的可能性  安田 均

[研究ノート]

  • 金融化と金融資本研究  小林陽介

[書評]

  • 飯盛信男著『日本経済の再生とサービス産業』  櫛田 豊

[書評へのリプライ]

  • 『国際経済論』に対する書評(評者:水島多喜男氏)へのリプライ  秋山誠一

経済理論学会第62回大会報告

経済理論学会第62回大会報告(英文)

経済理論学会第62回大会分科会報告

経済理論学会2014年度会務報告  代表幹事

第5回(2014年度)経済理論学会奨励賞  選考委員会

第6回(2015年度)経済理論学会奨励賞募集要項  選考委員会

第1回(2014年度)経済理論学会ラウトレッジ国際賞  国際賞選考委員会

2015年度経済理論学会第63回大会の開催について  大会準備委員会

論文の要約(英文)

刊行趣意・投稿規定

編集後記  大野 隆

編集後記

『季刊・経済理論』第52巻第1号をお届けします。本号は昨年秋に阪南大学で開催された経済理論学会第62回大会(2014年10月25日〜26日)の特集号です。

この大会の共通論題は、「経済理論の現在:対抗軸としてのポリティカル・エコノミー」でした。ここ数年のテーマは、金融危機や大震災とともに深まる現代資本主義の諸問題を分析するというものでしたが、昨年の大会はこうした現代資本主義分析を通じて培われたマルクス経済学の到達した成果と課題を明確にすることがテーマでした。別の言い方をすれば、新古典派など現代経済学のメインの流れに対して、マルクス経済学の現在を確認し今後の発展方向を探るものとして、気鋭の研究者3名の報告を軸に議論が行われました。

マルクス経済学の到達した学問体系の成果を明確にすることは、学術会議の「参照基準」をめぐる問題への回答として重要な意味をもっています。ここ数十年の間に、ミクロ・マクロの経済学が経済学の標準とみなされてきたのに対し、マルクス経済学は経済学の周辺に追いやられてきました。こうした経済学の現状に対して、マルクス経済学は、学問の多様性の尊重ということで経済学群の中に留まるだけでなく、積極的に現実分析の用具としての優位性を押し出していくことが要請されているともいえます。その点で、今回の共通論題は、(主流派経済学への)対抗軸としての政治経済学の意味を問う試みを示したものであり、今後もこうした議論を継続することが期待されます。

特別寄稿は、バンジャマン・コリア氏の「制度的失敗としてのユーロ危機:安定・協調・統治に関する欧州条約―なぜユーロ危機はそれほど深く、持続的なのか」です。現在のユーロ危機について2012年3月調印の「安定・協調・統治に関する条約」(TSCG)の問題点から考察しています。

  21の分科会報告は、共通論題関連で2つ、蓄積論や不況論、労働、ジェンダー、エコロジー、経済学説史に、4つのセット企画、3つの英語セッションと、多彩な内容になっています。その他、2014年度会務報告、第5回経済理論学会奨励賞と第1回ラウトレッジ国際賞の授賞理由、2015年度第63回大会開催案内が掲載されています。本号は、以上のような大会関連の論文や報告、年間の活動報告のほか、投稿論文や研究ノート、書評・書評リプライを掲載しています。

  『季刊・経済理論』はこの第1号が大会特集号で、残りの3つの号は編集委員会の企画による特集号となります。それぞれ特集テーマを決めそのテーマにふさわしい方に執筆を依頼しています。同時に投稿論文や書評・書評リプライを掲載します。レフェリー制をとる投稿論文の掲載は『季刊・経済理論』の柱であり学会発展の源ともいえますので、今後とも投稿者が増えることを期待しております。

昨年12月から編集委員長のしごとをさせていただいていますが、この作業をしてみて今更ながら、多くの人が関わり学会を盛り上げていることを実感しました。本号も執筆者をはじめとして多くの人の尽力のたまものです。査読に携わるレフェリー会員は当然ながら表に出てきませんが、多くの労力を費やしてコメントとジャッジを寄せてくださっています。編集委員の方の働きにも頭が下がります。こうしたご貢献に対し、この場を借りて感謝を述べたいと思います。そして最後に、桜井書店の桜井香氏は文字通り毎回本誌を強く支えておられます。深く感謝の意を表したいと思います。

(竹内晴夫)

編集委員

委員長

  • 竹内晴夫(愛知大学)

副委員長

  • 坂口明義(専修大学)

編集委員

  • 姉歯 曉(駒澤大学)
  • 大野 隆(立命館大学)
  • 勝村 務(北星学園大学)
  • 酒井正三郎(中央大学)
  • 田中英明(滋賀大学)
  • 藤田真哉(名古屋大学)
  • 矢吹満男(専修大学)

経済理論学会について詳しくは、同学会のホームページ
http://www.jspe.gr.jp/
をご覧ください。