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季刊 経済理論 第42巻第2号(2005年7月)  特集◎レギュラシオン理論の到達点と展望
季刊・経済理論第42巻第2号

経済理論学会編

B5判並製/128頁
ISBN4-921190-85-2
定価2100円(本体2000円+税)
発行
2005年7月20日

目次

[特集◎『資本論』草稿研究の現在-新メガの編集・刊行とその成果]

  • レギュラシオン理論、90年代の総括と現在の展望ロベール・ボワイエ/訳=中原隆幸
  • 日本資本主義へのレギュラシオン・アプローチ--論点の整理山田鋭夫
  • レギュラシオン理論における生産モデル分析の到達点と展望清水耕一
  • レギュラシオン派の貨幣金融論--概念的成果とその課題坂口明義
  • 制度理論としてのレギュラシオン理論--レギュラシオニスト第2世代の試み原田裕治

[論文]

  • 構造からレギュラシオンへ--レギュラシオン・アプローチの方法論的革新性とは何か 中原隆幸
  • 金大中政権の経済改革とマクロ経済の不安定性
    --レギュラシオンの変容と景気循環パターンの変化を中心に梁峻豪
  • サービス生産と再生産表式櫛田 豊
  • 市場社会主義の現代的モデルの理念と方法--機会の平等主義・誘因両立性・革新的競塚本恭章
  • [書評]

    • 磯谷明徳著『制度経済学のフロンティア』有泉 哲
    • 守 健二著『資本と時間の政治経済学』石垣建志
    • 大沢真理編『福祉国家とジェンダー』原 伸子

    [書評へのリプライ]

    • 『入門社会経済学』に対する書評(評者:大野隆氏)へのリプライ 宇仁宏幸
    • 『グローバリゼーションから軍事的帝国主義へ』に対する書評(評者:後藤康夫氏)へのリプライ大西 広

    論文の要約(英文)

    刊行趣意・投稿規定

    編集後記(宇仁宏幸・佐藤良一)

編集後記

本号の特集企画は,「レギュラシオン理論の到達点と展望」をテーマに,5本の論文で構成した(本号に掲載された投稿論文4本のうち,2本の論文がレギュラシオン理論に関連するものとなったのは偶然である)。M・アグリエッタのRegulation et crises du capitalisme(邦訳書題名『資本主義のレギュラシオン理論』)が刊行されたのが1976年であるから,まもなく30年が経過しようとしている。また,日本において,レギュラシオン理論の研究が本格化したのは1985年頃であり,それからすでに20年が経過したことになる。このかなり長い歴史をもつレギュラシオン理論が,経済理論においてどのような貢献をしたのかを明らかにすること,また,これからどのような方向に進もうとしているのかを明らかにすることが本特集のねらいである。

R・ボワイエ氏には,1990年代以降におけるレギュラシオン理論の新たな展開について書いていただいた。制度をどのように理解すべきか,また,「政治的なもの」をどのように経済理論のなかに位置づけるべきかを中心に,レギュラシオン派の諸研究が総括的に検討されている。山田鋭夫論文では,レギュラシオン理論に基づく日本経済分析が総括される。高度成長期,安定成長期,平成不況期という3つの時期区分,また成長体制論と調整様式論という2つの理論区分を使いながら,これまでの諸研究の成果と残された課題とが提示されている。

レギュラシオン理論の貢献がとりわけ顕著な分野は,生産モデル論と貨幣・金融論であると考えられる。清水耕一論文は,R・ボワイエとM・フレスネの生産モデル論を紹介したうえで,レギュラシオン理論における企業論の可能性を探っている。リーン生産のようなワン・ベスト・ウエイは存在しないばかりか,一国内の同一産業部門においてさえ複数の生産モデルが存在するという事実の発見に基づき,それをマクロ経済的要因とも結びつけて理論化しようとする試みがボワイエ=フレスネの生産モデル論である。坂口明義論文では,貨幣を介した社会的凝集性をとらえようとするレギュラシオン派独特の諸概念が検討される。労働の社会的連関とは別の,貨幣を介した社会的相互依存をもたらす貨幣の紐帯機能とは何か,その安定性はどのようにして保証されるのか,といった問題に関するM・アグリエッタらの研究の成果と課題が示される。特集企画の最後の原田裕治論文は,F・ロルドン,B・アマーブルおよびS・パロンバリーニという若手研究者たちの最近の研究を紹介している。彼らはレギュラシオン理論が創成期に有した観点に立ち戻ることを重視し,コンフリクトや政治過程を制度理論に取り込んで,制度の生成や変化を説明しようとしている。

特集を企画するに際し,当初,レギュラシオン派に属さない研究者に,レギュラシオン理論に対する批判的見解の執筆を依頼することも検討した。これは,結局,今回は実現できなかった。本号の特集企画をきっかけに,様々な角度からの,レギュラシオン理論に関する検討が活発化することを期待したい。

(宇仁宏幸・佐藤良一)

編集委員

委員長

  • 大西 広(京都大学)

副委員長

  • 菅原陽心(新潟大学)

委員

  • 青才高志(信州大学)
  • 北川和彦(立教大学)
  • 佐藤良一(法政大学)
  • 竹永 進(大東文化大学)
  • 芳賀健一(新潟大学)
  • 萩原伸次郎(横浜国立大学)
  • 松本 朗(立命館大学)
  • 吉原直毅(一橋大学)

経済理論学会について詳しくは、同学会のホームページ
http://www.jspe.gr.jp/
をご覧ください。