- 季刊 経済理論 第41巻第1号(2004年4月) 特集◎現代のポリティカル・エコノミー-マルクス経済学の可能性-
- 目次
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[特集:現代のポリティカル・エコノミー-マルクス経済学の可能性-]
- 司会西野 勉(高知大学・名)/中谷 武(神戸大学)
- 報告:社会経済学と規範理論_「創造」の経済学へ松井 暁(立命館大学)
- 報告:グローバリズムと原理論小幡道昭(東京大学)
- 報告:資本主義は存続できるか久留間健(立教大学・名)
- コメント植村高久(山口大学)
- コメント北野正一(神戸商科大学)
- リプライと一般討論
[特別寄稿]
- マルクスと西側経済学を超える中国経済学の建設程 恩富(上海財経大学)/溝口由己(新潟大学)訳,解説 大西 広(京都大学)
[論文]
- 吉原直毅氏による「マルクスの基本定理」批判松尾 匡(久留米大学)
- 商品貨幣説の意味すること泉 正樹(東京大学・院)
- 換過程と価値形態─青木孝平氏の価値形態論をめぐって新田 滋(茨城大学)
- 銀行資本と信用機構清水真志(香川大学)
[書評]
- 佐藤良一編『市場経済の神話とその変革-<社会的なこと>の復権』山田鋭夫(名古屋大学)
- E・P・トムスン著/市橋秀夫・芳賀健一訳『イングランド労働者階級の形成』鈴木和雄(弘前大学)
- 関根順一著『土地支配の経済学』森岡真史(立命館大学)
- トニー・ローソン著/八木紀一郎監訳『経済学と実在』西部 忠(北海道大学)
論文の要約(英文)
編集後記(植村高久記)
- 編集後記
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『季刊 経済理論』の第1号はようやく刊行にこぎつけることができた。幹事会や『年報』の編集委員会で繰り返し議論を重ね、さらに学会費の値上げという会員への負担増までお願いして実現した機関誌の季刊化である。まず、この雑誌が「経済学における批判的な研究の公器」として社会的に認知され、末永く発展していくことを願いたい。
経済理論学会は55年の歴史と約1,000人の会員を擁する、世界有数のポリティカル・エコノミー(「社会的・歴史的視野をもった経済学」の意味)の総合学会である。そうした学会が「査読付きの季刊誌」を持つことは当然のこととも言える。投稿論文の掲載までの期間は最短7ヶ月程度となり、「研究の公器」としての利便性も高まっている。この「公器」を舞台にして、学会のあり方にふさわしく、様々な研究成果が公開され、熱い論争が交わされることを期待する。
とくに総合学会を標榜している点を再確認したい。学会も機関誌も「理論」という名称を掲げてはいるが、個別専門分野を超えて経済学の基礎理論から現代資本主義の諸問題までを広く研究・討論することが本学会の特徴であり、『季刊 経済理論』も理論に限らず、広く様々な研究の「公器」となるように努力したい。
なお、本号は『季刊 経済理論』の最初の号であるが、今までの『経済理論学会年報』の40年に及ぶ歴史を継承していることを示すため、起点を第41巻とした。名称については、縷々議論があったが会員アンケートで支持の多かった『季刊 経済理論』に落ち着いた経緯がある。一層の飛躍を期すとともに、歴史的な蓄積の継承に努めることも目標であり、編集方針も継承された部分が多い。
本号に掲載されているのは、大会の関係の部分(共通論題の論文3篇とその討論、大会関係の資料、特別寄稿1篇)と投稿論文4篇、書評4篇である。このうち、投稿論文は昨年10月末までに到着した13篇を査読を経て選定したものである。書評対象文献は昨年8月の「学会ニュース」の「会員著作リスト」に掲載されたものを中心にして選んだ。
書評に関しては課題がある。編集委員会では、「自薦はしない」「身近な人の著作はなるべく推さない」という原則で対象図書を選んでいる。とはいえ、編集委員の関心領域のものが選ばれる傾向があることは否めないし、まったく異領域の文献については掲載価値の有無の判断も難しい。編集委員会の人選をなるべく偏らないようにすること、さらに「会員著作リスト」を丹念に検討することを考慮中である。
良き読者が良き雑誌を育て支える。まだ始まったばかりの若い『季刊 経済理論』である。不行き届きの点もあるが、ご意見、ご批評等はご遠慮なく編集委員長へお寄せ願いたい(下記にメールアドレス等を掲げる)。
季刊化に伴って編集委員会も6人体制から10人体制へと増強されたが、季刊となると仕事量も増え、しかも各号の作業を同時並行的に進めねばならない。今期編集委員会の最初の仕事は、こうした季刊化に必要な仕事の流れと任務分担の形を作ることであった。様々な理由で編集委員会の会議が年4回という制約のなか、メーリング・リストによる討論と情報共有も活用している。試行錯誤は免れないが、現状では新体制は順調に機能している。なににも増して有り難かったのは、委員の諸氏が例外なく分担した仕事を完遂して頂けていることである。
季刊化に関連した煩雑な経営サイドの問題はすべて大谷代表幹事にお任せした。新しい機関誌づくりの半分くらいのエネルギーは大谷代表幹事のものであったことを明記しておく。
(植村高久記)
- 編集委員
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委員
- 植村高久(山口大学)
- 宇仁宏幸(京都大学)
- 大西 広(京都大学)
- 岡本英男(東京経済大学)
- 竹永 進(大東文化大学)
- 芳賀健一(新潟大学)
- 原 伸子(法政大学)
- 半田正樹(東北学院大学)
- 松井 暁(立命館大学)
- 三土修平 (東京理科大学)
経済理論学会について詳しくは、同学会のホームページ
http://www.jspe.gr.jp/
をご覧ください。