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家事労働とマルクス剰余価値論   森田成也著

家事労働とマルクス剰余価値論

家事労働は労働力価値を構成するか。
マルクスの労働価値論を精緻化・発展させて、経済学とフェミニズムの再構築を試みる。

  • A5判/上製/288頁
  • ISBN978-4-905261-22-3
  • 本体3700円+税
  • 初刷:2014年10月10日

編者の言葉

本書がテーマとしているのは、家庭内で労働力を再生産することに直接貢献している種々の労働、すなわち家事労働と労働力価値との関係であり、したがって、その労働力価値が低下することで発生する剰余価値、すなわち相対的剰余価値との関係である。

家事労働は明らかに労働力を生産し再生産するのに必要な労働の中に入るにもかかわらず、日本のマルクス経済学においては基本的に、それは労働力価値を構成しないものとみなされてきた。私は、『資本主義と性差別:ジェンダー的公正をめざして』(1997年、青木書店)を執筆していた時点ですでに家事労働も労働力価値に入るという立場であって、その立場から一つの章をこの問題に当てる予定だったが、紙幅の問題もあって、結局、同書ではこの問題を論じることはできなかった。本書はその時なされなかった課題を果たすものである。

目次

  • 目次
  • 第1章 マルクスにおける労働力価値規定と家事労働
    • 第1節 マルクスにおける労働力価値規定
    • 第2節 「本源的労働力価値」は生活手段価値に還元されるか?
    • 第3節 マルクスの生産的労働論と家事労働
  • 第2章 家事労働と労働力価値をめぐる論争
    • 第1節 緒論
    • 第2節 「家事労働=非価値形成説」の検討T:場所の特殊性
    • 第3節 「家事労働=非価値形成説」の検討U:家事労働そのものの特殊性
    • 第4節 「家事労働=非価値形成説」の検討V:経済的位置の特殊性
    • 第5節 「妻の扶養費」と労働力の価値規定
  • 第3章 家事労働と労働力価値との量的関係
    • 第1節 いくつかの前置き
    • 第2節 家事労働と労働力価値との量的関係T:非分業モデル
    • 第3節 家事労働と労働力価値との量的関係U:性別分業モデル
    • 第4節 種々のモデルの比較検討
  • 第4章 家事労働と労働価値論
    • 第1節 労働力価値の生活手段価値への還元問題
    • 第2節 労働力価値の二重の転倒
    • 第3節 セコム説の検討
  • 第5章 家事労働と「労働力の価値分割」
    • 第1節 マルクスにおける「労働力の価値分割」論
    • 第2節 働き化による相対的剰余価値の生産
    • 第3節 「労働力の価値分割」論の解明T:共働き化の経済的動機
    • 第4節 「労働力の価値分割」論の解明U:共働き化による特別剰余価値の生産
    • 第5節 「労働力の価値分割」論の解明V:共働き化の不均等な進展
  • 第6章 「労働力の世代的再生産」と剰余価値論
    • 第1節 マルクスにおける「労働力の世代的再生産」論
    • 第2節 「労働力の世代的再生産」と労働力価値
    • 第3節 児童労働と相対的剰余価値の生産
    • 第4節 標準労働年数と剰余価値論
    • 第5節 簡単なまとめ
  • あとがき

著者

森田成也(もりた・せいや)

1965年生まれ。
駒澤大学、國學院大学非常勤講師。

主な著書

  • 『資本主義と性差別』(青木書店)
  • 『資本と剰余価値の理論』,『価値と剰余価値の理論』(以上、作品社)
  • 『マルクス経済学・再入門』(同成社)
  • デヴィッド・ハーヴェイ『新自由主義』,『〈資本論〉入門』,『資本の〈謎〉』,『反乱する都市』,『コスモポリタニズム』(以上、作品社、共訳)
  • キャサリン・マッキノン『女の生、男の法』上下(岩波書店、共訳)
  • トロツキー『レーニン』,『永続革命論』,『ニーチェからスターリンへ』,マルクス『賃労働と資本/賃金・価格・利潤』(以上、光文社古典新訳文庫)
  • ほか。