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価値の理論 第二版  和田 豊(岡山大学経済学部教授)

価値の理論 第二版

労働過程論の視角にもとづく支配労働価値説をさらに展開した増補新版!
市場外労働(非実現商品の投下労働・家庭内労働・公務労働・ボランティア労働)、エコロジーとの関連に分析を拡張

  • A5判/上製/416頁
  • ISBN978-4-905261-19-3
  • 本体4600円+税
  • 初刷:2014年5月15日

著者の言葉

本書は,マルクス派経済学の根幹をなす労働価値論にかんして,私が正しいと考える理論の在り方を学界に問うために著された。その内容は10年前の初版と較べると,市場外労働(非実現商品の投下労働・家庭内労働・公務労働・ボランティア労働)の分析やエコロジーとの関連に拡張され,既存の諸章にも無数の加筆・修正が加えられたが,底流にある基本的な発想とその含意は,つぎのとおり不変である。

価値論は,諸商品の交換価値の実体・形態・水準を解明する経済学の基礎理論であり,労働価値論は,交換価値の実体を最終的には諸商品の生産に投下された諸労働に帰着させるところに成立する。その際の方法としては,伝統的な「蒸留法」ではなく,私が「労働過程論の視角」と呼ぶ社会的物質代謝一般の構造認識を用いるべきである。

商品の交換価値は,商品が販売(購買)される際に確定される交換の条件を意味するが,それが何らかの実体に照らして「等量交換」でなければならない理由は存在しない。商品交換は「不等量交換」であっても何ら支障なく行われうる。

労働過程論の視角からみた不等量交換は「不等労働量交換」であり,交換価値の必然的現象形態である諸商品の価格をみれば,不等労働量交換が資本制経済の現実である。したがって,交換価値の水準の解明は,諸商品の価格を規定する不等労働量交換の要因分析にほかならず,これが国際経済関係や市場外労働やエコロジーを取り扱う段階まで一貫した労働価値論の中心課題とされなければならない。

このような発想にもとづいて構築された労働価値論には,通念に反する興味深い特徴が認められる。一つは,諸商品の交換価値の直接的実体が,当該商品の投下労働ではなく,投下労働から乖離した支配労働だということである。いま一つは,労働価値が,商品の投下労働でもなければ交換価値の究極的実体でもなく,市場経済一般のレベルで理論的に想定された基準価格の支配労働だということである。

目次

  • 第1章 マルクス派経済学の価格理論
  • 第2章 貨幣の必然性論の諸類型
  • 第3章 労働価値概念の基本性格
  • 第4章 異種労働の抽象的労働への還元
  • 第5章 結合生産商品の労働価値規定
  • 第6章 労働価値体系の生産価格体系への転形
  • 第7章 転形問題論争の系譜と展望
  • 第8章 生産的労働論争と労働価値論
  • 第9章 諸搾取率の概念とその意義
  • 第10章 労働価値論の国際的適用
  • 第11章 市場外労働と労働価値論
  • 第12章 エコロジーと労働価値論
  • 付論 労働価値論の諸研究

著者

和田 豊(わだ・ゆたか)

1957年,石川県金沢市に生まれる
1979年,名古屋大学経済学部卒業
(株)日立製作所勤務をへて
1986年,名古屋大学大学院経済学研究科博士課程単位取得退学
名古屋大学経済学部助手,日本学術振興会特別研究員をへて
現在,岡山大学経済学部助教授(社会経済学担当)