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資本主義と女性労働   中川スミ著/青柳和身(岐阜経済大学名誉教授)・森岡孝二(関西大学名誉教授)

資本主義と女性労働

フェミニストによる経済学批判と切り結んで、経済学とジェンダー、女性雇用、家事労働、労働力の再生産、性別賃金格差、「家族賃金」思想など、女性労働問題の核心を追究。
66歳で急逝した『資本論』研究者の女性労働論集。

  • A5判/上製/224頁
  • ISBN978-4-905261-17-9
  • 本体2500円+税
  • 初刷:2014年3月31日

編者の言葉

本書は、畏友中川スミさんが生前刊行を希望しながら果たせなかった「資本主義と女性労働」に関する既発表論文を、学問的交流のあった青柳和身氏が一書に編んだものである。
中川さんは1942年に福岡県に生まれ、九州大学大学院経済学研究科を修了した。1971年、夫君中川信義氏の大阪市立大学赴任に伴い、関西に転居し、高田短期大学に勤務していた間も関西を拠点に研究活動を行ってきた。ところが、これから円熟した研究者としてのいっそうの活躍が期待されていたなかで、不幸にも、2009年6月、享年(満)66歳で急逝された。(森岡孝二)

本書に収録された諸論文は、ジェンダー視点からの労働力再生産論とそれにもとづく賃労働論の研究である。この研究は、中川氏の最初期からの研究課題である賃労働論研究の新たな発展を示すものであるとともに、『資本論』の理論的研究の十分な蓄積にもとづいて、フェミニストの多様なジェンダー論の批判的検討を通じて形成されたものである。それゆえに、きわめてポレミックな性格をもっている。(青柳和身)

目次

  • 序章 経済学とジェンダー:家事労働・労働力の価値・「家族賃金」
  • 第1章 家事労働と資本主義的生産様式:私的・無償労働としての家事労働の性格づけをめぐって
  • 第2章 女性労働問題の「特殊性」をめぐって:大沢・竹中論争の意味するもの
  • 第3章 「家族賃金」イデオロギーの批判と「労働力の価値分割」:家族単位から個人単位への労働力再生産機構の変化
  • 補論 大沢真理さんのコメントに答えて
  • 第4章 日本型企業社会における女性の労働と家族
  • 第5章 ジェンダー視点から見た賃金論の現在:マルクスはどう読まれてきたか
  • 第6章 女性の雇用労働者化と「家族賃金」思想:「労働力の価値および価値分割」論をどう理解すべきか
  • 第7章 賃金理念をめぐって:労働総研報告書「均等待遇と賃金問題」が提起したもの

著者

中川スミ(なかがわ・すみ)

  • 1942年、福岡県に生まれる。
  • 九州大学大学院経済学研究科を修了後、1970年4月から72年3月まで九州大学経済学部助手。
  • その後、大阪経済大学、同志社大学などの非常勤講師を経て、1984年4月、高田短期大学専任講師、86年4月、同助教授、91年4月、同教授。
  • 1997年3月、高田短期大学を退職。その後、神戸学院女子短期大学、関西大学の非常勤講師、基礎経済科学研究所理事などを務める。
  • 2009年6月、死去。


編者

  • 青柳和身(岐阜経済大学名誉教授)
  • 森岡孝二(関西大学名誉教授)