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原災地復興の経済地理学  山川充夫(前・福島大学うつくしまふくしま未来支援センター長、帝京大学教授)

原災地復興の経済地理学

原子力発電所事故の被災地(原災地)ふくしまの苦悩はなにを問いかけているのか。
避難・復旧・復興の過程を支援活動をとおしてつぶさに見つめ続けてきた著者からの報告と提案。
脱原発・原子力に依存しない持続可能な社会の方へ。

  • 四六判/上製/228頁
  • ISBN978-4-905261-15-5
  • 本体2400円+税
  • 初刷:2013年10月31日

著者の言葉

原子力災害(原災)は双葉・相馬地域の人々を豊かな自然や人間共同性から切り離し、福島県内外での避難・仮設生活を余儀なくさせている。……低線量被曝が健康にどのような影響を与えるのか、先の見えない不安は、単に科学的なデータによる説明だけでは払拭できない。客観的基準にもとづいて「安全」であると言われても、なぜかそれが「安心」として心にすとんと落ちてこない状況をもたらしている。「安全」と「安心」は見事に分断されてしまった。この分断をいかに克服し、一体的表現としての「安全・安心」をいかに回復するのか、そして被災者から切り離された豊かな自然や人間の共同性をいかに回復していくのか、それを支援していくことが今後の課題である。

本書は2011年3月11日に発生した東日本大震災と東京電力福島第1原子力発電所原子炉のメルトダウンによる原子力災害(原災)をうけたふくしまの復旧・復興への支援に、福島大学定年退職までの2年間、福島大学うつくしまふくしま未来支援センター長として、どのように向かい合ってきたかにかかわる、私のささやかな記録である。

目次

  • はじめに
  • 第1章 震災&原災にどう向き合うか
  • 第2章 なぜ復興ビジョンに脱原発を掲げるのか
  • 第3章 原子力災害とふくしま復興の苦悩
  • 第4章 帰還・復旧・復興への社会技術的課題
  • 第5章 地域復旧・復興と地理学
  • 第6章 原子力災害と南相馬市復興ビジョン
  • 第7章 避難指示区域の地理学的意味
  • 第8章 原災地域復興支援の4ステップ
  • 第9章 川内村全村避難からの帰村宣言
  • 第10章 東日本大震災・原子力災害と商店街の対応
  • 第11章 脱原発と地域経済の展望
  • 第12章 地域アイデンティティの再構築に向けて
  • 第13章 3.11がわたしたちに問いかけていること
  • おわりに

著者

山川充夫(やまかわ・みつお)

1947年愛知県生まれ
福島大学名誉教授・客員(特命)教授
帝京大学経済学部地域経済学科教授
博士(学術・東京大学)
日本学術会議会員
専門は経済地理学・地域経済論・都市経済学
著書には『大型店立地と商店街再構築』(八朔社)など。