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コーポレート・グローバリゼーションと地域主権  福田泰雄著
コーポレート・グローバリゼーションと地域主権

多国籍巨大企業による世界の<市場と制度>統治(ガバナンス)の実態に迫る現代帝国主義論!

A5判/上製/264頁
ISBN978-4-921190-62-0
本体3400円+税
発行
初刷:2010年4月1日
第2刷:2011年5月1日

著者の言葉

本書は,コーポレート・グローバリゼーション概念を軸として,このグローバリゼーションの矛盾の解明に迫る。グローバリゼーションは,単なる世界市場のフラット化ではない。今日,少数の独占資本は,多国籍企業として世界の主要マーケットにおいて過半を超えるシェアを握る。さらに,貿易ルール,および世界貿易機関(WTO),国際通貨基金(IMF),世界銀行など国際調整機関を自らの影響,ガバナンス下に置く。巨大資本による「市場と制度」のガバナンスであり,コーポレート・グローバリゼーションの成立である。これは,巨大資本への新たな権力集中を意味する。その結果,一方の巨大資本,他方の労働者,途上国などのステークホールダー,これら両者の間の力関係は前者に大きく傾く。コーポレート・グローバリゼーション体制は,いかなるメカニズムによって,階級間の権力格差を拡大し,所得分配の歪みを広げるのか,この点の理解に最大の困難が伴う。グローバリゼーションをコーポレート・グローバリゼーションとして把握することによって初めて,オルターナティブの提示が可能となる。本書の最終目的は,コーポレート・グローバリゼーションに代わるローカライゼーションを提示することにある。

本書はまた,論争の書であり,主流派である新古典派によるグローバリゼーション分析に対する批判をその特徴とする。

目次
  • はしがき
  • 第1章 グローバル資本主義分析のビジョン
    • はじめに
    • 第1節 新自由主義
    • 第2節 新古典派の基本的2命題
    • 第3節 パレート最適命題の虚構性
    • 第4節 分配決定と資本の優位
    • むすび
  • 第2章 WTO体制と多国籍企業
    • はじめに
    • 第1節 WTOルールとは何か?
    • 第2節 WTOルールの受益者
    • 第3節 ルールの決定者
    • むすび
  • 第3章 グローバリゼーションと労働
    • はじめに
    • 第1節 格差拡大と生活不安定化・貧困化
    • 第3節 新古典派「統一理論」
    • 第4節 分配決定における資本の優位化
    • 第4節 グローバリゼーションと労資関係
    • むすび
  • 第4章 WTO体制とフード・セキュリティ
    • はじめに
    • 第1節 アグリビジネスとWTO体制
    • 第2節 家族農業の破綻と大規模化・工業化
    • 第3節 工業型農業の非持続性
    • むすび
  • 第5章 WTO合意と開発途上国
    • はじめに
    • 第1節 エンクレーブ型開発の限界
    • 第2節 東アジアの開発戦略
    • 第3節 WTO合意と開発権
    • 第4節 農村の貧困とWTO農業協定
    • むすび
  • 第6章 コーポレート・グローバリゼーションの終焉
    • はじめに
    • 第1節 現代の帝国主義
    • 第2節 コーポレート・グローバリゼーションの腐朽性
    • 第3節 ローカライゼーション
  • エピローグ
    • 1 資本の権力
    • 2 資本の限界
    • 3 労働者・市民の役割
著者
福田泰雄(ふくだ・やすお)

一橋大学教授 経済学博士(京都大学)
1951年,東京に生まれる
1976年,一橋大学経済学部卒業
1981年,同大学院経済学研究科単位修得

著書
  • 『現代市場経済とインフレーション』(同文舘出版,1992年)
  • 『土地の商品化と都市問題』(同文舘出版,1993年)
  • 『現代日本の分配構造』(青木書店,2002年)
  • ほか