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分権型福祉社会と地方自治  槌田 洋著
分権型福祉社会と地方自治

どこへ。改革の方向は。

著者が自ら一公務労働者として参画した、自治体と住民・地域団体との協働の経験、スウェーデンの自治体改革、地方自治の先駆的理論などに学びつつ、地方自治体の再生に向けた改革課題とその方向を提示する。

A5判/上製/276頁
ISBN4-921190-26-7
本体3200円+税
発行
初刷:2004年7月22日

著者の言葉

本書は、筆者が学生時代からかかわった地域住民団体の活動や、自治体職員として担当した学童保育・高齢者福祉などの職務、またなにより自治体職員労働組合の役員としての経験をとおして培われた問題意識などをベースとしたものである。その意味で、地域と住民サイドから発せられた貴重な情報や経験の蓄積を国レベルの政策展開と接合して、地方自治の新たな方向を見出すこと、それが本書の課題と言える。

目次
  • はじめに
    1. スウェーデンの自治体改革と二つの道
    2. ポスト福祉国家の自治体改革
    3. ウェッブとコール
    4. 現代地方自治改革の論点
    5. 本書の基本的な視点と方法
    6. 本書の構成
  • 第一章 現代子育て問題と子育て支援システム
    • 第一節 吹田市の子育て相談と育児問題の構造
    • 第二節 吹田市の子育て支援事業と育児教室
    • 第三節 育児教室の総括-子育て文化の形成とサポートシステムの構造-
    • 第四節 子育て支援事業の総括と地方自治・分権をめぐる論点
  • 第二章 大阪大都市圏域の形成とニュータウン開発-郊外型住宅地開発と階層的地域形成-
    • はじめに
    • 第一節 大都市圏域の地域構造
    • 第二節 戦後大阪の住宅建設と地域形成
    • 第三節 千里ニュータウン計画の背景と開発過程
    • 第四節 北大阪地域の地域構造の形成
    • 第五節 階層的大都市圏域構造の形成過程
  • 第三章 自治体行財政運営と協働型システム
    • 第一節 協働型システムの形成と構造-吹田市の事例をとおして-
    • 第二節 公共行政改革をめぐる論点とその背景
    • 第三節 分権型行財政運営
  • 第四章 スウェーデンの生活圏自治体とリージョン
    • はじめに
    • 第一節 スウェーデンにおける自治体改革の背景-スウェーデン福祉国家システムの動揺-
    • 第二節 イエテボリコミューンでのNC(近隣議会)-生活圏自治体への改革-
    • 第三節 NC改革の到達点-地方自治の主体形成-
    • 第四節 グローバル化のなかでの広域自治体改革-EU統合とリージョン-
    • 第五節 スウェーデンにおける福祉国家の転換点と自治体改革の位置
  • 第五章 社会システム論から地方自治論へ-ウェッブ夫妻とG・D・H・コールの自治体論-
    • はじめに
    • 第一節 ウェッブ夫妻の社会システム論と地方自治論
    • 第二節 G・D・H・コールの地方自治論-下からの社会組織論-
  • 第六章 地方自治と近隣自治体-「自由の拡大」と地方自治改革-
    • はじめに
    • 第一節 コミュニケーションと公共圏・自治体
    • 第二節 現代の生活様式と社会的共同業務
    • 第三節 自治体改革と近隣自治体
  • あとがき
  • 索引
著者
槌田 洋(つちだ・よう)

富山大学経済学部を卒業後,大阪府吹田市役所勤務を経て
京都大学大学院経済学研究科博士課程終了
経済学博士(京都大学)
現在,日本福祉大学社会福祉学部教授