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意識と言語  宮田和保著
意識と言語

ソシュール,丸山圭三郎,中村雄二郎,廣松 渉,柄谷行人,アルチュセール,そして時枝誠記,三浦つとむ。
彼らの言語研究からなにを学び、いかに乗り越えるべきか。
唯物論的言語観である「言語過程」説の立場から、ソシュール学派の根源的批判を展開し、「言語とはなにか」を明らかにする。

四六判/上製/272頁
ISBN4-921190-22-4
本体3200円+税
発行
初刷:2003年5月25日

著者の言葉

言語研究は、社会がなんであり、そこから意識がどのようにして形成されるのか、さらに、どのようにして意識が表現において社会的な性格を受けとり、社会的に精神的な交通を可能にするのか、という根本的な課題をはらんでおり、したがって、その科学的な解決の意義についてあらためて論及する必要はないであろう。唯物論的言語観である「言語過程」説こそがこの課題を真に解決できるということが、本書全体を通じて明らかになるだろう。

目次
  • まえがき
  • 凡例
  • 序論 存在論における意識の一般規定
    • 第1節 存在論と認識論
    • 第2節 マルクスにおける意識の一般規定
    • 第3節 実践と意識
  • 第1篇 意識論-言語表現の理解のために
    • 第1章 自己意識の形成
      • 第1節 自己意識とはなんであるのか
      • 第2節 自己意識はどのようにして発生するのか
      • 第3節 自己意識はなぜ発生するのか
    • 第2章 時制の意識
      • 第1節 時制意識の形成
      • 第2節 「非在の現前」論批判
      • 第3節 未来への投企と人格
    • 第3章 共感・理解過程
      • 第1節 観念的な置き換えと観念的な転換
      • 第2節 アダム・スミスの「同感の原理」
      • 第3節 理解過程について
    • 第4章 自我形成の事例(1)
      • 第1節 原初的な共有状況から自我の発生
      • 第2節 「自我二重性」か、それとも「観念的な自己分裂」か
    • 第5章 自我形成の事例(2)-自閉症の場合
      • 第1節 世界の二重化と自閉症
      • 第2節 自己の客観化と自閉症
  • 第2篇 言語と言語規範
    • 第1章 思考と言語
      • 第1節 言語表現とはなんであるのか
      • 第2節 「思考言語」説批判
      • 第3節 <ラング→パロール>論の批判
    • 第2章 「言語」を「言語規範」に還元する見解への批判-「近代知の超克」論批判のために
    • 第3章 言語フェティシズム批判
      • 第1節 <言語対象構成>説批判
      • 第2節 言語の恣意性
      • 第3節 「関係主義」と物象化
    • 第4章 規範・イデオロギー
      • 第1節 規範と物象化
      • 第2節 イデオロギーとしての規範
      • 第3節 閉ざされたシステムからの離脱-柄谷行人
  • むすび
  • あとがき
著者
宮田和保(みやた・かずやす)

1951年,熊本県に生まれる
北海道大学経済学部卒業
同大学大学院経済学研究科博士課程終了
現在,北海道教育大学教授

著書
  • 『資本の時代と社会経済学』(大月書店,2000年)