- 日本経済の構造改革 佐藤真人・中谷 武・菊本義治・北野正一著
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「構造改革」の名のもとの実際…
日本はどうなるのか。現状からどう脱出するのか。
本書は兵庫県労働運動総合研究所の会員である経済学者たちの自問自答です。
<執筆者>
- 佐藤真人(1947年生まれ・関西大学経済学部教授)
- 中谷 武(1948年生まれ・神戸大学大学院経済学研究科教授)
- 菊本義治(1941年生まれ・神戸商科大学商経学部教授)
- 北野正一(1947年生まれ・神戸商科大学商経学部教授)
A5判/上製/196頁
ISBN4-921190-18-6
本体2500円+税
発行
初刷:2002年6月18日 - 著者の言葉
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いま構造改革は国民的テーマである。1990年代初めから続く長期不況は、依然として出口が見えない。さらに日本人の我慢の限界を試すかのように、「あってはならない」ことが続々と明るみに出ている。政治家、官僚、経営者の実情に対する国民の苛立ち、怒りは臨界に達しようとしている。日本はどうなるのか、現状からどう脱出するのか。経済学は、これに答えなければならない。本書は、私たちなりの答である。
(中略)
本書は、執筆者がすでに理解していることをわかりやすく書いた教科書ではない。私たち自身、自問自答しながら書いた部分も多い。不十分な点、果たすべき課題が残っていることは承知している。この点については、今後さらに研究、調査を進めることを約束して、お許し願いたい。そして、読者のみなさんにはぜひ自ら「日本経済の構造改革」を考えていただきたい。そもそも「日本経済の構造改革」は、多くの研究者と現場で働いている人々の共同作業で進めるべきテーマである。本書が、読者と私たちの共同作業のキッカケになれば幸いである。
- 目次
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- 序章 日本経済の構造改革 菊本義治
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第1章 平成不況と構造改革 佐藤真人
- はじめに
- 第1節 歴史的な平成不況
- 第2節 日本経済の特質
- 補論 家計貯蓄の構造
- 第3節 「お金の流れ」(資金循環)
- 第4節 蓄積されたもの(資産)
- むすび
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第2章 グローバル化と国民生活 中谷 武
- はじめに
- 第1節 グローバル化の進展
- 第2節 グローバル化推進論とその背景
- 第3節 グローバリゼーションと日本経済の方向
- 補論 日・米・EU・アジア多国間国際産業連関表を使った試算
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第3章 成熟経済における福祉のあり方 菊本義治
- はじめに
- 第1節 福祉を敵視する「構造改革」
- 第2節 生涯生活権としての福祉
- 第3節 福祉の国際比較
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第4章 自立した地域経済像を求めて 北野正一
- はじめに
- 第1節 もうひとつの構造改革:集権から分権へ
- 第2節 地域の産業像
- 第3節 自立した地域経済と国内外との連帯